公開日 2019年07月29日(Mon)
7月22日(月)~25日(木)の日程で,中国マカオで開催された第34回中国青少年科学技術イノベーションコンテスト(CASTIC)に出場しました。昨年のSSH全国大会における文部科学大臣表彰(第1位)の受賞を受けて,「日本代表」としての出場です。メンバーは,3年平田くん,3年米倉さん,2年持永さん(いずれも理数科)の3名です。
7月20日(土),家族と教頭先生に見送られて,鹿児島空港を出発。
経由地の上海空港では,待ち時間を有効に使って野鳥観察。これはヒヨドリの仲間のシロガシラ。日本でも八重山諸島に生息しています。ちなみに今回時々登場する鳥の写真は,写真部員でもある米倉さんがすき間時間で撮影したものです。
上海の浦東空港から約3時間。マカオについたのは22時,マカオ大学内の宿舎に着いたのは深夜0時でした。
7月21日(日),宿舎前にて日本チーム集合。心強いボランティアさんたちとともに,ポスター設営のため発表会場に向かいます。
ポスター発表のブースはこんな感じです。設営が終わったら,違反がないかチェックを受けます。発表内容は昨年文部科学大臣表彰を受けた大隅諸島のエンマコガネの研究ですが,海外での発表用に図版と予備研究の部分を修正し,もちろん全て英語に直しました。
午後はマカオ大学内で,オープニングセレモニーで使うプラカードを作成。元美術部員が活躍しました。
完成!3人でアイデアを出し合い,日本らしいデザインにしました。左上のキジは,日本の国鳥ということで採用されたようです。
15時から予定されていたオープニングセレモニーの予行は,なんと18時30分に始まりました。ボランティアさんの案内でマカオ大学内を2時間散策しても時間を潰しきれませんでした。写真はオープニングセレモニー会場にあった「日本(Japan)」の垂れ幕。プラカードも含めて,日本代表としてきていることを実感しました。
オープニングセレモニーの予行の様子。プラカードを持って国ごとに2人ずつステージに上がり,一言述べて後ろに並びます。中国は省ごとに行います。中国チームのパワーには圧倒されました。ちなみに国旗を持って上がらないようにと厳しく注意がありました。CASTICは純粋に若者たちの科学の発表の場であり,いかなる政治的な問題も持ち込ませないという意図によるもののようです。参考までに,「台湾」は中国の「省」ではなく,一つの国(地域)として扱われていました。
7月22日(月),オープニングセレモニー本番です。日本チームは3年生2人が霧島市からお借りした法被を着て臨みました。意外とリラックスしていますね。
Italy に続いて「 Japan 」がコールされました。ステージ上では,「こんにちは。ひろあきです。さくらです。We are team JAPAN ! 加油!」と日本語・英語・中国語の3カ国語を取り入れて挨拶しました。中国語の「加油(チャーヨウ)」は頑張れ!という意味ですが,これを入れたことで,一段と大きな拍手が起こりました。
中国の要人も加わっての記念写真。スゴイことになっています。これをかき分けて前に行くと…,
こんな感じです。「Japan」見えますか?左上のキジが目印です。
オープニングセレモニー終了後,日本チーム3人で記念写真。後ろはラオスチームのようです。
午後は一般公開でしたが,教員は別のプログラムがあったため,写真は撮れませんでした。こちらはお互いに写した発表練習の様子。
夕方宿舎に向けて歩いていると,日本では渡り鳥として時々見られるホオジロハクセキレイが芝生の上で餌を探していました。
7月23日(火),いよいよグランドアワードの本審査です。日本チームは国分高校の制服で臨みました。6時から朝食ということでちょっと眠そうです。
この日も教員は発表会場に入れないので,写真は審査の合間にお互いにとったり,ボランティアさんが撮ってくれたりしました。この写真は,ねじって組んだはずの手が,ねじれてなーいというのを世界各国に広めている写真です。巻き込まれているのはタイチームとインドチーム,ボランティアの方々のようです。だいぶリラックスして臨めたようです。
審査の合間には,お互いの発表を聞きに行くこともできます。これは韓国チームが聴きに来てくれている様子ですね。大人の政治情勢などここでは関係ありません。
数少ない審査風景の写真。基本的には全て英語で発表です。中には拍手をして絶賛してくださった審査員もいたらしく,ある程度の手応えはあったようです。
夕方からは生徒交流会が行われましたが,教員は入れず,写真はありません。
7月24日(水),この日は終日一般公開ですが,9時30分からと少し余裕があったので,早朝バードウォッチング。マカオ大学は実は中国本土側にあり,マカオとは海で隔てられています。写真はマカオ大学からマカオを望んだもので,大学東側の干潟では多くの野鳥を見ることができました。ちなみに今狙っているのは…,
思いっきり夏羽のアカガシラサギ。ここまで完璧な夏羽は日本ではなかなかお目にかかれません。
この日の一般公開には,女子2人は浴衣で臨みました。教員も入ってよいとのことで,生徒たちの発表や国際交流の様子をご紹介します。
霧島市からお預かりした霧島市の観光パンフレット(英語版)も配布して,研究内容だけでなく日本や鹿児島県,霧島市の紹介もしました。
もちろんちゃんと研究発表も頑張りました。聴いてくれているのは中国の高校生。
こちらは中国の中学生。とても熱心に質問していました。
こちらはインドチームの引率の先生。
こちらの中国の学生は熱心に話しかけてくれて,様々な議論や情報交換ができたようです。生徒たちが最も刺激を受けた交流になったのではないかと思います。
16時30分にはブースを撤収してマカオ大学へ移動。大学の体育館(開閉会式会場)前で外国チーム全員での集合写真。いろいろな国の国旗が見えます。国旗はありませんが,日本チームはほぼ真ん中に陣取っています。
宿舎に戻って夕食,着替え,一休みして夕方からの特別賞表彰式に備えました。
日本では記録すらないクロエリムクドリが何か言い争っていました。
19時30分からは,Special Award(特別賞)の表彰式。
工学的な研究が評価されやすいと聞いていたので,期待せずに気楽にいこうと思っていると,早い段階で「Japan !」とコールされ,生徒たちは大慌てで壇上へ。「高士其特別賞」を受賞しました!
席に戻って握手を交わしていると,心の準備もないまま再び「Japan !」のコール。生徒たちは何の賞かもわからないまま再び壇上へ。「マカオ大学科学技術イノベーション特別賞」でした!
特別賞を2つもいただき,びっくりの日本チーム。「火山国における生物相形成の新たな視点」という地道な基礎研究が国際大会で評価を受けたことはとても喜ばしいことです。
うれしすぎて,会場の外でもついこんな写真を。霧島市の法被が,ついに世界の舞台でも表彰台に上がりました。
7月25日(木),大会最終日。午前中はマカオ市内観光,午後はグランドアワードの表彰式です。
朝のバードウォッチングでは,日本のモズよりかっこいいタカサゴモズがお出迎え。
マカオ半島部分にあるポルトガル統治時代の遺構,「大三巴」。所々に中国らしさが隠れていました。
マカオタワーにも行きました。橋の向こうに見えるのはタイパ地区。一緒に写っているのは,一番仲良くなったタイチームの高校生。
昼食を挟んで,午後はグランドアワードの表彰式。
開式までの間,スクリーンには大会期間中の若者たちの様子が映し出され,日本チームも何度も登場していました。
さあいよいよグランドアワードの表彰式が始まりました。
3等(銅賞)でコールされず,2等か1等の可能性が高くなりました。
2等(銀賞)でもコールされず,理論的にはあと1等しか残っていません。
「いやいや何ももらえないこともあるかもしれないから期待しすぎるな。メンタルやられるから。」と小声でお互いに話しながらも,どうしても期待してしまいます。
そしてグランドアワード1等(金賞)の発表。発表はアルファベト順です。「Canada,Denmark,Germany…,」そして「Japan !」。日本チーム3人の名前もコールされました。そのあとは耳に入ってきません。鳥肌がしばらく収まりませんでした。あとから動画を見直すと,11カ国が1等を受賞したようです。
ズシリと重い金メダルを手に席に戻った生徒たち。ちょっと実感がわいてきました。
表彰式,閉会式が終わっても興奮冷めやらず,ステージ上でお世話になったボランティアのSamさんやAllenさんたちと記念撮影。
終わってみれば,グランドアワード1等に加えて特別賞2つ受賞,という想定以上の結果を残すことができました。唯一の日本代表チームとしての重責を果たせて,本当にほっとしました。生徒たちにとっては今後の人生に影響を与えるほどの素晴らしい経験になったと思います。国分高校理数科・SSHにとってもまた一つ大きな成果が加わりました。
土台を作ってきた数世代の先輩たち,放課後遅くまでの準備に協力してくださった保護者,国分高校,霧島市,大会関係者の皆様に心からお礼を申し上げます。
今後とも国分高校をよろしくお願いします。