公開日 2020年08月24日(Mon)
8月20日(木)~21日(金),SSH活動の一環として,屋久島で研修を行いました。当初は3泊4日の予定でしたが,屋久島到着初日に屋久島での新型コロナウィルス感染が発生したことから,急遽日程を短縮して実施しました。参加したのは2年生19名(普通科6名,理数科13名)。
行きの船はフェリー屋久島。ここでの課題は,「カンムリウミスズメ,カツオドリ,トビウオを観察し,写真に収める」です。カンムリウミスズメは見られませんでしたが,オオミズナギドリを見ることができました。
屋久島での最初の研修場所は「白谷雲水峡」。下の写真は昼食後のくつろぎの一時。美しい渓谷です。
地質の専門家である成尾先生に同行していただき,屋久島の地質について説明していただきました。
植物の専門家である寺田先生には,屋久島の植物について説明していただきました。
1周約1時間の「弥生杉コース」を歩きながら,さらにいろいろな植物のお話を伺いました。
弥生杉。樹齢約3000年,樹高26mの立派な屋久杉です。大きすぎて写真に収めるのが難しいですね。
屋久島が「もののけ姫」の舞台のモデルになったのもうなずけます。息をのむほどの美しい森です。
途中,木が倒れて地層が垂直に剥ぎ取られている場所がありました。「これは約7300年前の幸屋火砕流の地層です。シラスのような赤っぽい土に軽石が混ざっているのが特徴です。」
第一人者の成尾先生に,現地で実物を前に幸屋火砕流の説明を聞く!来た甲斐がありました。
地質,美しい渓谷,美しい森,多様な動植物…,「世界遺産」屋久島はやはりすごいところです。
大きな花崗岩の上で記念写真。壮大な時間をかけて形成された正長石の大きな結晶が見えています。
宮之浦で夕食をとった後,2班に分かれ,地質班は宿にて研修。終了後は宿の周りで昆虫採集をした生徒もいたようです。
一方生物班は寺田先生から「ヤクシマカワゴロモ」の講義を受けた後,一湊川での灯火採集。
天然記念物に指定されている水生植物「ヤクシマカワゴロモ」を食べる「カワゴケミズメイガ」の研究を行っているメンバーが,明かりに飛んできた2頭を採集しました。写真のようにとまった状態の横幅が2cm位の小さな蛾です。幼虫は水中で天然記念物を食べているのでしょうね。
灯火採集終了間際の記念写真。
研修2日目。一湊に泊まった生物班は,早朝5時半に宿を出て,一湊川で「ヤクシマカワゴロモ」の観察。
天然記念物ではありますが,堰よりも下流は区域外であるため,持ち上げて観察しても大丈夫。地元のこどもたちがヤクシマカワゴロモに親しめる場所になっています。ちなみにそのように指定したのは今回の講師の寺田先生。
これがヤクシマカワゴロモ。石の表面に緑色の根が張っています。葉は針のようになっていてほとんど見えません。多くの株は水中にありますが,水しぶきがかかりさえすれば,この写真のように水面より上にあるものもあります。
現地で実物を手に取りながら,寺田先生からヤクシマカワゴロモの説明を聞く!この体験の貴重さが分かっているかな?
観察を終えて記念写真。持ち上げた石は全て元の形に戻しました。ちなみに朝の6時29分です。
朝食後は地質班と合流し,バスで屋久島南西部の「大川(おおこ)の滝」へ。
植物観察の様子。
地質の観察。この辺りの岩は屋久島の本体を形成する花崗岩ではなく,花崗岩が形成される時にマグマの熱が周辺の堆積岩を変性させてできた「ホルンフェルス」だそうです。
雄大な大川の滝をバックに,マスクを外して記念写真。
最後の研修地は「千尋の滝」。植物の観察もこれがラスト。
千尋の滝右岸の斜面は,想像を絶する巨大な花崗岩の一枚岩だそうです。
千尋の滝をバックに。今だけマスクを外して一枚。大川の滝とはまた違った迫力があります。
新型コロナウィルスの影響で半分に短縮されてしまった点は残念でしたが,生徒たちは屋久島の自然の素晴らしさを感じ,多くのことを学んでくれたのではないかと思います。
関係の皆様に厚く御礼申し上げます。